平成28年度も,残り1ヶ月となりました。来週は,卒業式を控えています。
春は,別れと出会いの時期とも言われます。寂しい気持ちがあります。
夏目漱石は,弟子であった芥川龍之介と久米正雄に次のような言葉を手紙で送っています。
牛になる事はどうしても必要です。
吾々はとかく馬になりたがるが、牛には中々なりきれないです。
僕のような老猾(ろうかつ)なものでも、 只今(ただいま)牛と馬とつがって孕める事ある相の子位な程度のものです。
あせっては不可(いけ)ません。
頭を悪くしては不可(いけ)ません。
根気づくでお出でなさい。
世の中は根気の前に頭を下げる事を知っていますが、 火花の前には一瞬の記憶しか与えて呉れません。
うんうん死ぬ迄押すのです。
それ丈(だけ)です。
決して相手を拵(こし)らへてそれを押しちゃ不可ません。
相手はいくらでも後から後からと出てきます。
そうして我々を悩ませます。
牛は超然として押して行くのです。
何を押すかと聞くなら申します。
人間を押すのです。
文士を押すのではありません。
生徒の皆さんには,様々なことを考えながら平成28年度のまとめをしてもらいたいと思います。そして,新たな目標に向かってもらいたいです。