合唱から多くのことを学ぼう ~生徒指導だより「岳」第5号発行~

 稲穂祭がいよいよ目前となりました。みんなで歌を作りあげる機会は多くの人にとって中学校までです。高校では合唱を行事として実施する学校は少ないです。その点で中学校での合唱は特別なものであり、人生の中でも貴重な経験の一つです。感染症対策は大事ですが、廊下を歌いながら歩く生徒の様子をみると、これが本来の中学校の姿だなあと感じます。合唱をする意義は多くありますが、私は言葉の力を感じることだと思います。今年度の合唱曲から考えてみましょう。

 3年3組の合唱曲「蒼鷺」は1993年に長谷部匡俊さんが作曲した合唱曲です。詩の難しさから3年生が歌うことが多い合唱曲です。元になった詩はもっと古く、第二次世界大戦中の1943年(昭和18年)に詩人の更科源蔵が発表した詩集『凍原の歌』にあります。更科源蔵さんは1904年に北海道の摩周湖の近くに生まれました。更科源蔵さんの親が新潟から北海道へ移り住んだのは1885年(明治18年)のことで、原野を開拓して生活していたようです。草を積み上げたような小屋に住み、家の中まで密林の中のように雪が吹き込んだり、雪が顔にかかって寝られないとか、雪の積もった布団の上を鼠が走って歩く様子であったと回想しています。家に帰れば暖かい布団や食事がある私たちにはこの詩の中の「絶望」は理解できないかもしれませんが、考えて自分なりに表現することはできます。

 凍原の上に動かぬアオサギが意味するものは何でしょうか。生命力や忍耐力でしょうか、厳しい自然の中でも土地を離れず、その土地で亡くなっていった人々でしょうか。「蒼鷺」にはこれまでも多くの解釈がなされてきましたが、更科源蔵さんが心ゆさぶられた景色が、言葉となって、聞く私たちの心をゆさぶる。言葉を感じる心を持ち、私たちの心を支え、心を強くしてくれる言葉を感じる合唱祭にしていきたいですね。

[そのほかの内容]

〇 公園の使い方について

〇 ひざ掛け 座布団の使用を認めます

〇 名札をつけましょう

〇 自転車で登下校中に交通事故に合ったときはどうしたらいいのか ①