卒業証書授与式を終えて ~生徒指導だより「岳」第4号より~

 3月11日に第54回の伊奈中学校卒業証書授与式が行われました。卒業生は、一人一人立派な姿を見せていました。何度参加しても卒業式は感慨深い行事です。実際、行っていることは儀式的行事なので、形式的な事が多いのですが、様々感情が刺激されます。それは、卒業式が中学生生活のゴールであり、最後の授業、到達点だからなのでしょう。

 

 今回は、卒業式を終えて、シンガーソングライターの中島みゆきさんの『永久欠番』という曲から卒業ということ、学校生活について考えてみましょう。

 永久欠番とは、野球やバスケットなど背番号のあるスポーツで、功績のあった人物の番号を特別な番号として使用しない(欠番とする)ことです。『永久欠番』の歌詞の一部を確認してみましょう。

永久欠番

作詞・作曲 中島みゆき

どんな立場の人であろうと

いつかはこの世におさらばをする

たしかに順序にルールはあるけど

ルールには必ず反則もある

街は回ってゆく

人一人消えた日も

何も変わる様子もなく

忙しく忙しく先へと

(略)

百億の人々が 忘れても  見捨てても

宇宙の掌の中  人は永久欠番

 

 この歌の解釈や受け取り方は人によって異なりますが、社会の中での一人一人の存在という点がテーマになっています。

 卒業式だけでなく、3月は別れの季節です。それまで伊奈中学校の一員であった3年生がいなくなる。先生方が異動となっていなくなる。

 それでも伊奈中学校での学校生活は続けられ、一見して何事もなかったかのように学校は忙しく先へと回っていきます。古い思い出の上に新しい思い出が重ねられていき、やがて忘れられていくものなのかもしれません。

 ですが、この1年間、2年間、3年間という時間を同じ伊奈中学校で過ごしてきた後輩や先生方からすると、卒業した生徒なしに、伊奈中学校での生活を考える事はできません。卒業していった3年生の姿、その存在というものは、伊奈中学校の歴史の中での「永久欠番」、かけがえのないものです。

 残された在校生は、学校生活の中で3年生が支えていたこと、3年生が担っていたことを引き継ぎ、新入生を迎え入れて、新年度の伊奈中学校を創り出していきましょう。