自分自身の意思で道を選択し歩み続ける ~卒業式 答辞~

答辞

 やわらかな日差しが注ぎ、春の訪れを感じる季節となりました。この良き日に、私たち百八十五名は、それぞれの人生で出会う選択の幅を広げ挑み続けられるよう、新たな出会いと可能性が広がる未来を目指し、この伊奈中学校を卒業します。本日は私たち卒業生のために、このような晴れやかで、心温まる式を挙行していただき、ありがとうございます。また、ご出席くださいました先生方、そして保護者の皆様に、卒業生一同、心よりお礼申し上げます。

 在校生の皆さん、先ほどは温かい送辞をありがとうございました。在校生の皆さんからすれば、私たち三年生に感謝をしているのかもしれませんが、それを大きく上回るくらいに私たちも在校生に感謝をしています。一・二年生がいてくれたからこそ、私たちはお手本になろうと常にかっこいい自分たちを目指すことができました。また、部活動に所属していた三年生にとっては、一・二年生の大きな声援やサポートがあったからこそ、私たちは元気に楽しく目一杯先輩として学校生活を送ることができました。

 

そして、二月二十九日。茨城県立入試が終わり、私たちは受験を終えたリラックスした気持ちで学校に行きました。すると、校内は素敵な飾りで明るく彩られていて、とても驚きました。やっと受験が終わったという落ち着いた気持ちと共に、私たちのために飾り付けをしてくれた在校生に、感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。本当にありがとうございました。学年が上がるにつれ、周囲からの期待や重圧が増えていきますが、仲間たちと支え合い、最後まで楽しく中学校生活を過ごせることを心から願っています。

 

 卒業生の皆さん、私たちが伊奈中学校で過ごした日々を思い返してみてください。

 入学式の日、担任の先生はどんな人かなと気になったり、いろいろな小学校からたくさんの生徒が集まるために、どんな人がいるのかなとわくわくしていました。

 

 

そんな中、私たちの心に暗い雲がさしかかりました。新型コロナウイルスです。新型コロナウイルスの影響で授業がリモートになり、このままで楽しい中学校生活が過ごせるのか、最後に笑顔で卒業できるのか、大きな不安が私たちを襲いました。

 

ですが、少しずつ日常が戻っていき十月には第一学年のみという短縮された形ではありましたが、先生方のおかげで無事に体育祭が開催されましたね。

 

 

そして、一月には二年生と共に群馬県へスキー宿泊学習に行くことができました。真っ白な雪の上を友達と笑い合いながら滑ったり、友達の部屋に遊びに行って話したりなど、たくさんのよい思い出ができた行事になりましたね。

 

 

 三年生になり、新しいクラスにも慣れてきた頃には、京都・奈良への修学旅行がありました。自由行動の日には、配られたカメラを使って思い出をたくさんの写真に収めました。部屋の中でも、もう一度戻りたいと思えるような最高に楽しい時間を過ごしましたね。

 

そして十月には体育祭が全学年合同で開催されました。私たちにとって、全学年で行う体育祭は中学校生活で、最初で最後でした。みんなが全力で楽しく競技に取り組み、最高学年らしい姿や笑顔を私たちは絶対に忘れないと思います。

 

 一日一日を思い返すととても充実した日々が続いていました。ですが、「三年間」を振り返ってみると、あっという間だったなと感じます。大人になっても思い返すであろう中学校生活をこの百八十五人の仲間達過ごすことができ、本当によかったです。言葉にできないほど楽しい三年間でした。本当にありがとう。

 

 そして先生方。私たちの学校生活の中で絶対に必要だったのは先生方でした。先生方にとって私たちの学年はどのような生徒がいて、どのような存在だったでしょうか。私は、本当に個性豊かで仲がよく、笑い声が絶えない学年だったなと思います。しかし、時にはみんなの元気さが行き過ぎで、他の友達が嫌な思いをすることもありました。そんなときに、先生方は私たちを叱ってくださり、反省の時間を与えてくださいました。嫌な思いをする人が誰一人いなくなり、よい学年になるよう何度も何度もご指導いただきました。そんな先生方の努力のおかげで今私たちは笑顔で卒業することができます。先生方が優しく、時に厳しく接してくれたことは、ずっと私たちの心に残るはずです。勉強の面でもいつも支えてくださった先生方が、私たちは大好きです。三年間、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

 

 そして、私たちには大きな大きな感謝を伝えなければならない相手がいます。家族です。勉強や部活動で「友達に抜かされてしまう」「〇〇ができない自分が嫌だ」とプレッシャーを感じたり自分が嫌になったり、多くのことに悩んだり、苦しんだ時に、ずっとそばにいて私たちを救ってくれていたのは家族です。それだけではありません。送り迎えをしてくれたり、体調を心配してくれたり、栄養バランスの整った食事を作ってくれました。よく、「進路やこの先の道は自分で決めるように」と言われます。進路には、多くの道があり、自分一人で決めるにはとても難しく私たちは悩みに悩んできました。そんな状況の中、アドバイスをくれたり、自分の道に光を与えてくれたのも家族です。そして、最終的には自分でこの先の道を決めることができました。そんな家族に対して、多くの人が照れくさくて普段言えていないことがあります。十五年間、多くの愛を注いでくれて、育ててくれてありがとう。これから私たちは、自分で選んだ道に一歩踏み出していきます。少しずつ大人に近づいていく姿を見守ってください。

 最後になりましたが、いつも元気でいる仲間や後輩、指導してくださった先生方、どんな時でも見守ってくれた家族。全ての人のおかげで、今の私たちがいて、本日、卒業の日を迎えることができました。卒業生を代表して、心よりお礼申し上げます。

 これから先、自分が嫌になることや、苦しいことが、成長すればするほど増えていくと思います。ですが、そんなときこそ伊奈中学校で学んだことや過ごした日々を思い出して、一人一人違った輝ける才能を生かし、自分自身の意思で道を選択し歩み続けることを誓います。

 伊奈中学校のさらなる発展を願い、答辞といたします。

令和六年三月十一日

第五十四回卒業生代表